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| JA全中会長 茂木 守 |
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、燃料・飼料・肥料等の原材料価格の高騰により農家経営が圧迫され、危機的状況に直面しました。農業政策としては、水田フル活用など食料自給率の向上を目指した政策転換が政府から示されるとともに、農地改革に向けた検討が引き続き行われました。また、世界的な食料の逼迫や食料価格の高騰、食に関する事件・事故の頻発を受け、昨年はこれまでにないほど国民の食に対する危機感が高まりを見せました。
さらに、世界的な金融危機を受け、WTO交渉の大枠合意をめざす動きが加速し、農業交渉議長案が示されましたが、昨年7月の閣僚会議時点の考え方を踏襲しており、わが国にとって非常に厳しい内容になるなど、昨年はわが国の食料・農業・農村の将来にとって極めて重要な年となりました。
これに対応し、我々JAグループとしても、担い手の育成や経営管理支援、新たな米需給調整システムにおける計画生産の徹底、安全・安心な国産農畜産物の消費拡大による自給率向上に向けた運動や新たな面的集積システム等による農地改革への対策、WTO農業交渉における日本農業を守る新たな枠組みでの農産物貿易ルールの確立に向けた運動等に全力をあげて取り組んでまいりました。
こうした中、JAグループは今年、次の課題について重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
第一に、農政改革への対応です。
米については、20年産では、国や県など行政の責任と関与のもとで、計画生産の達成に向けて、かつてない強力な取り組みをすすめてまいりました。21年産米についても、計画生産の確実な実施ならびに麦・大豆、飼料用米・米粉用米等との組み合わせによる水田農業経営の安定化に組織の総力をあげて取り組んでまいります。
水田・畑作経営所得安定対策については、第24回JA全国大会決議の行動計画の最終年となることから、米を中心としたさらなる担い手づくりの取り組みを行ってまいります。
また、農地制度については、昨年末に政府より示された「農地改革プラン」に基づき、本年には関連法案の国会提出をはじめ、関連制度・予算の検討が予定されていることから、引き続きJAグループの意思反映を目指すとともに、地域の担い手を中心とした農地利用を確立するため、市町村・農業委員会と連携のうえ、JAグループとしても積極的に役割を果たしてまいります。
第二に、WTO農業交渉に対する取り組みです。
昨年1年間、世界の食と農を取り巻く大きな地殻変動をまさに肌で感じるようになりました。世界的な食料不足や価格高騰を背景に、途上国では政情不安が生じ、これに食料輸出国の輸出禁止・規制措置が拍車をかけ、まさに我々が長年警鐘を鳴らして異常事態が現実のものとなりました。これに対し、6月のFAO食料サミット、7月の洞爺湖サミットでは、食料増産による食料安全保障の必要性を各国首脳が確認し、非常に画期的なものとなりました。
この一方で、農産物の貿易自由化をめぐる交渉は、こうした環境変化からすれば全く時代遅れとも言える、貿易の自由化のみを追求する議論に終始しました。7月末のジュネーブ閣僚会合に加え、11月中旬以降には、米国金融サミットを皮切りに閣僚会合の開催に向けた機運が盛り上がりましたが、そのたびにファルコナー農業交渉議長より提示されたモダリティ案は、食料輸出国の市場開放の要求のみを取り入れた極めて偏った内容であり、食料不足がますます深刻化するこれからの世界の食と農の未来を見据え、世界各国の多様な農業の共存を可能とするものとは到底言えません。
輸入農産物に対する不安感と相俟って、わが国の農業の将来をどうするのか、国民の関心はこれまでになく大きいものがあります。JAグループでは、改めて我々の運動に対する確信を深め、消費者、国民に広く働きかけを強めていくとともに、交渉に対する意思反映にこれまで以上に取り組んでいく必要があります。
第三に、JA経営のさらなる健全化に向けた対応です。
JAが総合事業性を発揮して農業振興と地域貢献に継続して取り組んでいくには、JA経営の健全化が重要です。しかし、昨年秋以降の金融危機に伴う景気の悪化と相俟って、今後、信用事業の収益悪化が想定され、JA経営が厳しい状況を迎えることが懸念されますが、JAグループ全体としての安定経営を継続・強化していくことが求められます。このため、農林中央金庫の資本の増強対策に取り組むことについて、JAグループが一丸となって協力していく必要があります。また、JA全国監査機構による独立性の高い監査や中央会による的確な経営指導等を通じて、一層のJA経営の健全化をめざしてまいります。
これらに加えて、農家経営指導など担い手支援、安全・安心な農畜産物の提供、食農教育、高齢者の生活支援、組合員組織の活性化、規制改革会議をはじめとする「いわれなきJA批判」への組織統一対応、今年開催する第25回JA全国大会決議を踏まえた諸課題につきましても、引き続き、積極的に取り組んでまいります。
今年がJAグループにとってますます飛躍の年となるよう、私といたしましても食と農を結ぶ活力あるJAづくりの先頭にたち、これらの課題にこれまで以上に積極果敢に取り組んでいく所存です。 |