TPPとは、「環太平洋連携協定(Trans-Pacific Partnership)」の略称です。今や国論を二分する大問題となっていますが、そもそもTPPとは何なのでしょうか。多様な農業の共存を目指し、10年間にわたり粘り強く交渉を続けてきたWTOドーハ・ラウンドや、お互いの国の経済発展を尊重し合うかたちで合意してきたアジア諸国などとのFTA(EPA)と何が違うのでしょうか。
TPPは一部の工業製品の輸出拡大による経済的メリットと引き換えに、日本人の将来の暮らしに大きな影響を及ぼします。農畜産物や工業製品の関税撤廃だけでなく、サービスの自由化や国内制度の規制緩和・撤廃なども幅広く交渉対象となり、日本という国の仕組みや基準が一変しかねません。このようにTPP交渉への参加は、極めて大きな問題をはらんでいます。
わが国がTPPに参加する場合、とりわけ米国、豪州、ニュージーランドとの関係で国内農業生産に大きな影響が考えられます。わが国は関税・為替リスク回避等の理由により、既に製造業の海外移転が進んでいますが、日本の農業は、関税の防波堤を失った場合、農産物輸出大国である米国等からの輸入農産物によって壊滅的な打撃を受けることになります。
わが国がTPPに参加すれば、農林水産物は大きな影響を受け、食料自給率は現在の40%から13%まで低下すると試算されています。そうなれば、食卓には外国産の食材があふれ、わたしたちの食生活は海外の生産事情に大きく左右される不安定なものとなります。誰もが生活の豊かさを望んでいますが、目先の経済的利益ばかりに目を奪われると、わたしたちの命を育んできた安全・安心な国産の食べ物を口にすることができなくなる可能性があります。
わが国は国土の70%以上が中山間地という国土条件にあります。このため、規模拡大を通じてコスト削減に努力したとしても、生産条件に恵まれた米国や豪州等の農業大国と価格面で競争するには限界があります。関税は、こうした生産条件の違いから生じる国産品と輸入品との格差を調整するために重要な手段であり、WTOでも認められている正当な措置です。