「全国高校生 農業アクション大賞」について
JA全中は毎日新聞社と連携し、農業高校(農業系学科があるなどの関連高校を含む)の生徒たちがグループとなって取り組む「農」や「食」に関するプロジェクトや課題研究を「全国高校生 農業アクション大賞」として支援・顕彰しています。
農家の人たちなど地域と連携して実践する3か年の計画を募集し、毎年度15グループを認定。優れた実績を残したグループには、3年目に「大賞」や「準大賞」、「奨励賞」を贈ります。
研究の背景と目的
大村湾に面する長崎県東彼杵町で生産される「そのぎ茶」は、全国茶品評会で4年連続農林水産大臣賞を獲得するほど高い品質を誇る、長崎県の特産品。しかし農家の高齢化などで、「そのぎ茶」をはじめとする「長崎茶」の生産量はピーク時の約3分の1に減っており、知名度のアップも長年の課題です。
長崎県立諫早農業高校に、JAながさき県央、茶生産者、長崎県農林技術開発センターから「地域活性を目標に、連携できないか」という相談が届いたことをきっかけに、同校の生徒たちも力を合わせて長崎県の新しいブランド商品の開発を始めます。ちょうど、2022年9月の西九州新幹線の開業で観光業の活性化もテーマになっていたことから「新幹線の車内で手軽に食べられる」ということがコンセプトになりました。
長崎県の代表的な加工食品の一つに「かまぼこ」があります。抹茶の風味と合い、スティック型にすれば車内でのスナックにも最適だと考え、長崎茶を使ったかまぼこの開発を始めた生徒たち。茶の添加量を決める試作を重ねるうち、同新幹線沿線の諫早市のジャガイモと、大村市のニンジンをサイコロ状にして練り込むという新しいアイデアも浮かび、「沿線の特産品を丸ごと食べる」というキャッチフレーズを掲げます。
地元の事業者から「ぜひ、わが社でこのかまぼこの商品化を」という声が上がったことをきっかけに、同校との共同生産体制も整いました。西九州新幹線の列車名にからめ、商品名は「かもめかまぼこ」と命名。西九州新幹線停車駅での販売やJR九州の観光列車「ふたつ星4047」でのPRに加え、JR西日本・大阪駅でのフェアにも出品、長崎の味わいが、レールで本州につながりました。
また製茶工場で研修した際、廃棄される茶が5%も生じることを聞いた生徒たちは、それを有効利用しようと、フローラル水(芳香蒸留水)を抽出し、芳香剤や脱臭剤として活用するべく実証実験も行っています。廃棄物「ゼロ」を目指した環境にも優しい取り組みになると考え、活動の幅を着実に広げつつあります。
長崎観光活性化の起爆剤として地域社会に貢献したいと、様々な活動を意欲的に続けています。

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