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若者がみつめる農・食

農・食の未来を拓く高校生・大学生の研究

第6回(2022年度)全国高校生 農業アクション大賞 奨励賞受賞
和牛でつなぐ地域の輪
ーチーム京都の挑戦ー


~京都府立農芸高等学校 農業生産科 畜産流通コース~
JA全中

「全国高校生 農業アクション大賞」について
 
 JA全中は毎日新聞社と連携し、農業高校(農業系学科があるなどの関連高校を含む)の生徒たちがグループとなって取り組む「農」や「食」に関するプロジェクトや課題研究を「全国高校生 農業アクション大賞」として支援・顕彰しています。
 農家の人たちなど地域と連携して実践する3か年の計画を募集し、毎年度15グループを認定。優れた実績を残したグループには、3年目に「大賞」や「準大賞」、「奨励賞」を贈ります。

 鎌倉時代に成った国内の牛の解説書「国牛十図」の中に、「丹波牛」という記載があります。京都の和牛文化を知る最古の史料です。京都府の丹波地方は肉牛生産の先駆地で、かつて、西日本三大家畜市場の一つがこの地に存在しました。実際に現在も京都市の牛肉への支出額は全国の自治体で1位、消費量は9位(いずれも1世帯当たり)です。一方で府内の生産家は減少を続けており、21世紀に入ってから約3割に減ってしまいました。「和牛文化を残したい」――。この活動に取り組む、京都府立農芸高校の生徒の思いは一つです。

 目標は府内産和牛の消費量拡大です。生産家を増やし、地域活性化を目指すには、消費がカギになります。
 まずは高付加価値化です。府内で育種改良された和牛受精卵を使用して、これまでに19頭の出生に成功しました。他のブランド和牛との差別化を図るために、牛肉のうまみ成分であるオレイン酸に着目しました。一般的な和牛のオレイン酸の含有率は48%ですが、府内産の飼料米と京都市内の酒造会社からの酒かすを餌にした肥育で、平均オレイン酸値を53.4%に高めることに成功しました。

 次は知名度の向上です。「知ってもらい・食べてもらう」。その「きっかけづくり」です。同校のある南丹市内の小・中学校への食育出前授業を展開、「食と命」の大切さや畜産業の魅力を伝え、牛丼やすき焼きなど同校で生産した牛肉を使ったメニューを給食に提供しました。
 JA全農京都と連携したクラウドファンディングは斬新な挑戦です。「目指せ和牛甲子園!」を掲げ、その費用を調達する試みで、目標の2倍の166万円を達成。牛肉を返礼品にしました。その「和牛甲子園」では2年連続入賞。取組評価部門、枝肉評価部門でともに4位に相当する優良賞を獲得しました。大会史上最高値となるキロ6,505円を達成。関係者へのインパクトは大きく、メディアを通じた情報発信で、その知名度を全国に広げました。「ヘルス博KYOTO 2023」で京都和牛の健康効果をアピールするなど、各種イベントにも積極的に参加しました。

 3番目は、地域連携です。JA全農京都やJAグループ京都、地元企業による「チーム京都」の力で、生産・流通・販売の基盤強化を目指しました。京都市内の「都ホテル」と連携し、ホテル内の2つのレストランで生徒らが生産した牛肉の使用を実現。校内をはじめ、京都市、亀岡市内での販売会を通じて、消費者の「笑顔」も広げました。「それらが大きな『輪』になったことを実感した」と生徒らは話しています。

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