AgLab Monthly
【あぐラボマンスリーNo.51】あぐラボが事務局の農林水産省『スタートアップ大規模技術実証支援事業』、支援先5社を決定
あぐラボは、農林水産省「令和7年度スタートアップ大規模技術実証支援事業」の事務局を務めています。
スタートアップがまず直面する大きな壁は、「死の谷」と呼ばれています。技術開発を終え、製品を本格的に市場投入する段階で、資金やリソース、人材などが不足し、倒産の危機に瀕する時期を指します。あぐラボが事務局を務める同事業は、死の谷の解決が重要な目的です。
農林水産業や食品分野が抱える様々な課題を、革新的な技術によってスピーディに解決しようと挑むスタートアップを対象に、その技術や商品が円滑に社会実装できるよう支援します。事業に採択されたスタートアップが死の谷を乗り越えていけるよう、1社あたりで最大3.2億円の補助金(補助率2/3)や事務局からの伴走支援でサポートします。
事業には44件の応募がありました。外部有識者による書面とヒアリングでの審査を実施した結果、下記の5社が事業者として採択されました。
採択企業は今後、それぞれの技術を実証。その成果を通じて、農林水産業と食品分野が直面する多くの社会課題を解決するとともに、新たな産業創出を目指します。
環境制御によるクロノリ陸上養殖技術を活用して、種苗の通年量産と供給を実証。海洋環境に左右されない安定した供給体制の構築と、陸上養殖の事業化に取り組む。
自動授粉と摘果ロボットの連携システムを活用して、イチゴなどについての作業を最適化。歩留まりと品質を安定化させ、次世代型植物工場の商用モデル確立に取り組む。
先端育種技術を活用して、高水温に耐えるなど強靭な次世代型F1品種を量産。環境変動下でも安定した生産を可能にし、養殖事業者の経営改善に取り組む。
圃場データや衛星画像をAIで統合解析し、高温・乾燥など気候変動による複合リスクに対応する最適処方を圃場ごとにリアルタイムに生成。技術と資材を組み合わせた耐候性プラットフォームで水稲の生産性向上を目指す。
【プロジェクトに対するメッセージ】
私たちは、持続可能な農業体系の実現を目指し、中干し延長によるJ-クレジット創出事業に取り組んできました。取組が広がるにつれ、気候変動が営農に及ぼす影響の大きさを実感し、その適応にも正面から取り組む責任をより強く感じるようになりました。そうした思いから、耐候性レシピや乾田直播といった技術の実証・開発を進め、着実に取組を広げていきたいと考えています。
【JAグループへのメッセージ】
高温や渇水の出方が年によって大きく異なる中、多くの生産者様が気候変動への適応に挑戦したいと思いながらも、何が正解か分からず、技術の実装はまだ道半ばというのが実情だと感じています。だからこそ、生産者様に日々寄り添うJAの皆様と一緒に、少しずつ答えを見つけていけたらと思っています。
AI等の技術を統合したスマート高速育種技術を活用して商用化を実証するとともに、社外機関に対する同技術での育種支援が可能なプラットフォーム開発に取り組む。
【プロジェクトに対するメッセージ】
私たちはこれまで、通常10年を要する新品種開発を2年に短縮し、実用化を推進してきました。
この度採択されました農水省「スタートアップ大規模技術実証支援事業」を通じて、この高速育種技術をより確固たるものにし、今後はイチゴだけでなく、国内外で気候変動の影響に直面しているさまざまな作物へと対象を広げていきます。
【JAグループへのメッセージ】
様々な展示会や会合の機会において、多くのJA様から弊社の品種開発技術や事業展開に対して関心のお声を寄せていただいております。
すでにJA西三河様では、近年の高温による品質・出荷量の不安定化や、輸出に適した品種選択といった課題を背景に、弊社のイチゴ新品種「CULTA-T3L(商標名:SAKURA DROPS)」の委託生産実証に取り組んでいただいています。
気候変動に負けない農業の未来を、各地域の生産者の皆様とともに切り拓いていければ幸いです。
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