「全国高校生 農業アクション大賞」について
JA全中は毎日新聞社と連携し、農業高校(農業系学科があるなどの関連高校を含む)の生徒たちがグループとなって取り組む「農」や「食」に関するプロジェクトや課題研究を「全国高校生 農業アクション大賞」として支援・顕彰しています。
農家の人たちなど地域と連携して実践する3か年の計画を募集し、毎年度15グループを認定。優れた実績を残したグループには、3年目に「大賞」や「準大賞」、「奨励賞」を贈ります。
「もしも地球上からミツバチが消えたなら、人類は4年で滅亡するだろう」。こんな衝撃的な言葉をアインシュタインは残しています。ミツバチは自然界の「ポリネーター(送粉者)」と言われ、その活動が地球の植物の生命をつないでいます。愛知県立安城農林高校の生徒らの関心から、プロジェクトがスタートしました。
同校のフラワーサイエンス科の生徒らが栽培するラン科のキンリョウヘンは「ミツバチラン」とも呼ばれ、ニホンミツバチを誘引します。農薬の影響でミツバチの減少が世界規模で進む中、蜂蜜の国内自給率は約5%しかありません。ニホンミツバチの保護で、新たな価値の創出に挑みました。
まず生態調査から始め、ハチの群れが巣を移動する「分蜂」をセンサーでデータ化し、ハチの1日の生活サイクルを解明。気象データとの組み合わせで、スマート養蜂への道筋をつけました。
植物ゲノム分析も活用し、校内で採取した蜂蜜の蜜源を特定。その結果、この蜂蜜は農薬が散布されていないエリアの植物由来であることが実証されました。残留農薬の検出もありませんでした。そこで、校内の空いている農地を活用して蜜源となる植物の栽培にも取り組んでいます。
次は「Bee-Bank」。地域社会で、ニホンミツバチの生息域を広げる活動につなげました。金融機関のように、同校周辺の安城市、岡崎市、常滑市、大府市との間で巣箱の譲渡を行い始め、生息数の確保に努めています。2023年に茨城県つくば市で開催された「ミツバチサミット」に参加。フランスの農業高との交流や、モンゴルでの養蜂研修など、活動の輪は海外にも広がりました。
蜂蜜を使った商品の開発にも力を入れました。ニホンミツバチの蜂蜜は希少性が高く、一般にはほとんど流通していません。その蜂蜜を知ってもらうため、文化祭での販売に加え、県内の商業高校と共同で蜂蜜入りのチョコレートを開発、農家と共同でチンゲンサイとコラボしたアイスクリームも商品化しました。蜂蜜に含まれる酵母にも着目し、事業者との提携で蜂蜜酵母パンを開発。ビールや酒の醸造にも取り組んでいます。
キンリョウヘンに代わる新たな交配種の開発にも挑戦。誘引効果が認められているラン3種を栽培し、交配に成功しました。
生徒らは、「Bee-Bank」がつなぐ豊かな自然環境を目指しています。

1_採蜜①

2_採蜜②
※ 現在担当教諭は愛知県立稲沢緑風館高等学校へ異動し、お問い合わせ等は現任校へお願いします。
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