「全国高校生 農業アクション大賞」について
JA全中は毎日新聞社と連携し、農業高校(農業系学科があるなどの関連高校を含む)の生徒たちがグループとなって取り組む「農」や「食」に関するプロジェクトや課題研究を「全国高校生 農業アクション大賞」として支援・顕彰しています。
農家の人たちなど地域と連携して実践する3か年の計画を募集し、毎年度15グループを認定。優れた実績を残したグループには、3年目に「大賞」や「準大賞」を贈ります。
研究の背景と目的
群馬県の名産と聞くとコンニャクを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、産地の一つ、県のほぼ中央部の渋川市旧子持村地域には、茶畑も広がります。ここでは、珍しい「和紅茶」を生産しています。
これは二番茶を発酵加工したもので、独自の茶文化を築いていますが、その知名度は低く、生産者は高齢化しています。東京電力福島第一原発事故の風評被害の影響も、今もなおぬぐえないといいます。
生徒たちは、和紅茶の付加価値を追求しました。和紅茶は、西洋紅茶と比べて渋みが薄く柔らかな風味で、甘みが強いのが特徴です。この渋みはポリフェノールによるものです。研究当初は、ポリフェノールの含有量が少ないと、ポリフェノールの持つ老化防止効果(抗酸化作用)も落ちるのではないかと心配されましたが、DPPHラジカル消去能と呼ばれる調査で、抗酸化作用に顕著な違いはないことを実証しました。また、同校動物科学科とのマウスを使った実験では、和紅茶に血糖値の上昇抑制効果があることも分かりました。
さらに、飲料用だけでは販路が限定されると考え、焼き菓子への利用も研究しました。どんなお菓子にするのか――。生徒たちは試作とアンケートを繰り返し、大量生産しやすいマフィンのほか、シフォンケーキやパウンドケーキとの相性がよいことに気づきます。食味をさらに追求し、和紅茶で作ったジャムをお菓子にコーティングして風味を強調。こうして完成させた商品で臨んだ「2022年 熱血!高校生販売甲子園」では、見事、優勝を果たしました。
コロナ禍の下、広報や販売活動には大きな制約が伴いました。限られた機会を最大限に利用するには「分かりやすく伝える」ことが重要です。SNSの活用に始まり、前橋市の地銀が主催するビジネス交流会にも参加。地元JAの農業まつりにも出店し、前橋市の「無印良品」店舗での販売も実現しました。こうして生まれたネットワークを地元・旧子持村地域の生産組合につなぐことで、地域の活性化を実現しました。


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