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地域の元気を生み出すJA

〜第30回JA全国大会決議の実践〜

有機酪農を支えるJAつべつ(前編)

和泉真理 一般社団法人 日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員

 JAグループは、令和6年開催の第30回JA全国大会において「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力~協同活動と総合事業の好循環~」を主題・副題とする大会決議を行いました。令和8年はその実践2年目となります。食と農の未来、国消国産運動の推進、地域の元気づくり、農福連携など、消費者の皆さまにも身近に感じられるテーマについて、全国各地のJAの取り組みを紹介します。

1. 日本初オーガニック牛乳の生産

 北海道東部オホーツク海から45 kmほど内陸に入ったところにあるJAつべつ管内の津別町有機酪農研究会は、日本で最初のオーガニック牛乳を生産し、作られた牛乳は明治乳業株式会社(現:株式会社明治)から有機牛乳として販売されています。JAつべつは、研究会の立ち上げ当初からこの取り組みを支え、有機飼料専用ラインを有するTMRセンターの設置、管内での有機飼料生産支援などを行っています。

明治が販売する津別町のオーガニック牛乳

 JAつべつ管内での有機牛乳の生産のきっかけは、この地域でもともと質の高い生乳を生産していたことから、明治乳業がJAに有機の生乳生産をしないかと打診してきたことです。管内の質の高い生乳を飲用乳として売りたいとの思いもあり、平成12年には20軒の酪農家が参加して津別町有機酪農研究会を設立しました。平成13年に有機による飼料作物の栽培を開始し、平成18年5月に日本での第1号となるJAS 有機畜産の認証を取得、同年9月にオーガニック牛乳の販売が実現しました。有機畜産物のJAS認証を取得するにあたっては、前例がなかったので、JAが普及センターや獣医師、振興センターなどと相談しながら、JAS認証に適合した牧場を具体化していったそうです。平成20年には有機畜産物(牛肉)のJAS認証を取得し、有機牛肉の生産も始めました。
 現在、津別町有機酪農研究会は5人の有機酪農家(うち3人は協業法人化)で構成されています。令和3年に構成員3人が協業法人を設立した背景には、各自の施設が老朽化し、また3人とも後継者が不在である中、個別に投資するより協業法人化することで、効率的な経営を可能にするとともに、従業員を雇いその中から将来の有機酪農の後継者を育てようという狙いがありました。他方、2軒の個人経営については、それぞれ飼養頭数は約65頭で後継者も確保されています。会員数は減少しましたが、出荷する乳量約2,300t、飼養頭数は、協業法人化による規模拡大もあり、300 頭を維持しています。この研究会の生産する有機生乳の国内シェアは非常に大きく、令和5年度の有機JASの格付け実績でみると国内での有機生乳生産量の5,414tのうち4割以上を研究会の生産量(令和5年度 2,345t)が占めています。

協業法人の最新設備の整った大規模な畜舎

2. 有機飼料確保の課題

 有機で営む畜産において特に問題となるのが、有機飼料の確保です。日本では輸入飼料への依存度が高いために、100%の有機飼料や放牧場の確保が難しいことが有機畜産が拡大しない大きな要因の一つです。津別町有機酪農研究会も、設立して最初に取り組んだのが有機栽培で飼料作物を確保することでした。
 研究会は立ち上げ直後からデントコーンの無農薬・無化学肥料での試験栽培に取り組みましたが、1年目は地力がなくて背の低いデントコーンしかできませんでした。5年、10年かけて慣行栽培と同等もしくはそれ以上の収量を確保できるようになりました。
 平成20年には有機イアコーンの試験栽培を開始し、研究会のメンバーの農地では面積に限界があったので、JA管内や隣接する有機農家と連携して有機イアコーンの委託栽培に取り組み、委託栽培だけで毎年10ha 以上の有機イアコーンを安定的に確保できるようになりました。有機畑作でのカボチャ、バレイショの輪作体系の中にイアコーン生産を入れています。イアコーンの収穫は、JAの子会社である(有)だいちが行っています。有機の子実トウモロコシについては、道央で生産されているものを購入しています。

和泉真理 いずみ・まり

1960年、東京都生まれ。東北大学農学部卒業。英国オックスフォード大学修士課程修了。農林水産省勤務を経て現職。
主な著書に『英国の農業環境政策』(富民協会、1989年)、『農業の新人革命』(農山漁村文化協会、2012年)、『ブレクジットと英国農政――農業の多面的機能への支援』(筑波書房、2019年)。

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