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食・農・地域の未来とJA

日本の食・農・地域の将来についての有識者メッセージ

日本の食と農のありがたみに
愛娘とともに感謝

新山千春 俳優 タレント

子どものためを思い、さまざまな資格を取得

 若い頃は健康よりもダイエットに走ってしまう時期もあったのですが、妊娠・出産を機に食への意識が変わりました。当時、少しでも多く子育ての知識があれば安心できる、と「チャイルドマインダー」や「食育アドバイザー」などの資格を取得したんです。食と向き合うようになってから、それまで肌荒れや不調が起こっていたのが、食をおろそかにしていたからだと気づき、反省しました。
 数年前に「薬膳インストラクター」の資格も取得しましたが、「なんとなく体に良さそう」と感覚で選ぶのではなく、資格をとる過程の学びによって根拠をもって選ぶことができるようになるのがいいなと思いました。

「薬膳インストラクター」の資格合格

 とはいえ、油っこいものや嗜好しこう品をまったく食べないというわけではなく、バランスを大切にしています。ジャンクなものを食べたら、そのぶん野菜もたくさん食べよう!という意識を持つなど、健康に結びつく食事を選ぶことに楽しさを感じています。ストイックになりすぎずに好きなものを食べつつ、ちゃんと整えていくのがいいと思います。

ジャンクな食べ物を食べたら野菜などのバランスを意識

体重計の数字にとらわれず、選ぶ基準は「幸せを感じる食事」

 昔は体重計の数字ばかりにとらわれていたけど、今は思い切って処分しちゃいました。温泉などでときどき計ってみると「おやおや…」と思うこともありますが(笑)、それよりも自分の体にとって健康だと思える感覚を一番大切にしています。「今日は朝からおいしい昆布の出汁だしをとってお味噌みそ汁を作って、納豆を食べた。豆腐も食べた、ミネラルも摂とった。いい食事をしたな」と思えるような、そういう生活が幸せなんです。健康を保つために一番必要な食をしっかりと軸にするにはどうするべきか、何を作るか、それを作る食材は何を選ぶべきか…と逆算して整えていくことが大切だなと日々感じています。

旬の食材と好きな野菜を使ったご飯

 食材を買うときには、国産かどうかという選択肢も出てきます。にんにくが欲しいときにはやっぱり地元・青森県産を選びますし、ほかにも地元の食材は手に取りたくなりますよね。そういう感じで、国産のものを選ぼうという意識は自然と育っていたのかもしれません。あとは、資格の勉強をする中で、旬のものを食べることがなぜいいのかを学び、知識とともに選び方が変わってきたところもあります。

「体が資本」栄養バランスの大切さと日本食のありがたみ

 「体が資本だから」ということは、娘にも口を酸っぱくして言っています。最近、炭水化物を抜く癖がついていたので「ちゃんとエネルギーになるものを摂ってね」と今朝も伝えました。薬膳の「気・血・水」の考え方では、まずエネルギー源になったり、集中力を高めたりする「気」を養う炭水化物が本当に大切なんです。

 娘はダンサーなので、「炭水化物を抜くと疲れやすくなったり集中力も落ちるからやめたほうがいいよ!炭水化物をしっかり摂った上でたんぱく質やビタミン・ミネラルも摂っていかないと、バランスが崩れてしまうから」とよく言っています。本人は「また始まった」という感じかもしれませんが、情報としてはちゃんと入っているんじゃないかな。

 娘は2023年にダンス留学のために渡米したのですが、日本のお米が恋しくなると思って炊飯器を持たせました。彼女は料理はあまり得意ではないけれど、おにぎりはよく作るので、ダンスの合間に自分で握ったおにぎりを食べて、お米のおいしさを実感し「和食が食べたい」とよく言っていました。「アメリカの野菜は大きいけど、味はやっぱり日本だね」と電話で話したこともあり、日本の食材の安心感や安全性を改めて感じていたみたいです。

日本のお米が恋しくなると思い娘に炊飯器を持たせる

健康の願いと作り手への感謝を込めたお弁当

 娘が幼い頃は毎日お弁当も作っていました。仕事をしながらだったので、残り物を入れる日もありましたけど、茶色いおかずばかりだと小さい子は食べてくれないんですよ(笑)。だから、ブロッコリーやトマト、コーン、枝豆などで華やかにしたり、食べやすく工夫したり、愛情を込めて作っていました。「全部食べてくれるといいな」ということを一番に、たまにはキャラ弁も作りながら、少し薄味にするなどなるべく健康面も意識していました。

 成長するにつれて、キャラ弁のような彩りよりも、摂るべき栄養をバランスよく詰める方向になりましたが、お弁当箱を開けて空っぽだとやっぱりうれしかったですね。時間がなくて残してしまったときも「ダンスに行く前に食べるね」とちゃんと食べてくれました。

幼い頃に作っていた華やかなお弁当(写真左)と娘の成長とともに栄養バランスをより意識したお弁当(写真右)

 それは私への気遣いでもありますけど、食材を作ってくださっている生産者さんへの感謝にもつながることだと思うんです。「食材を作ってくださる方がいるから、大事に食べようね」という話は小さい頃からしていましたし、「食材はできるだけ使い切る」という我が家のルールを守って、今でもちゃんと残さず食べてくれています。

地元・青森での原体験を娘にも

 私自身、青森の実家で、土づくりや種まきをして、炎天下の中でも心を込めて農作業をしているおばあちゃんやおじいちゃんの姿、ときに母親が手伝っていたり、父親も家族をしっかり支えていたり、という風景を見てきているので、生産者の方には感謝しかありません。

青森県の実家で農作業の手伝い

 祖母はトウモロコシやナス、キュウリ、シソ、スイカまで、本当にいろいろな野菜や果物を畑で育てていたんです。だから、小さい頃から、トマトを採ってその場で食べるような経験をして育ちましたし、娘にもそれを経験させてきました。一緒にジャガイモを掘ったり、リンゴを収穫したり、「ちょっと、畑からネギ取ってきて!」みたいなことも(笑)。

祖母との思い出写真

 娘は「いい土や水、空気に作り手の思いがこもっているから、青森の野菜は本当に味が濃くてすごくおいしいね」ということを、大人になった今でも言っています。手間暇かけて育てた野菜が実るところを見てきたので、食や農に対するありがたみやおいしさを感じる感性が自然と身についたんだと思います。

 また、実家にいた頃は、野菜は買うものというより、近所の人たちと物々交換するものでした。「シソ置いていくよー」「畑から野菜持ってって」とか、「友達にトウモロコシあげてきて」とか。そういうコミュニケーションも素敵なことですよね。

国産を選び、私なりの「国消国産」で農業を支えていきたい

 キャンプが好きなので、愛車に乗ってあちこちへ出かけるのですが、地域の直売所などで生き生きした野菜を買って、炭火で焼いて食べるのが楽しみのひとつ。調味料は塩だけでいいぐらい、素材がいいとシンプルな味付けだけで本当においしくなるんです。最近だと、群馬で買ったパプリカをホイル焼きにして食べたら、フルーツのように甘くて感動しました。

愛車でキャンプする様子(写真左)その土地で出会った食材を楽しむ(写真右)

 野菜を買うにしても、国産なら安心して手に取れますし、生産者さんの写真などが貼ってあると、プライドを持って生産されていることが伝わってきます。そういった食材がいただけることもすごく幸せなこと。今はインバウンドも増えていますけど、日本の食の繊細さや質の高さは、海外の方に対しても誇りに思えることだと思います。

 だから買い物をするときに国産の農畜産物を選ぶ気持ちがもっと当たり前になったらいいなと思うし、次世代の方が農業をやりたいと思える環境のためにも、「国消国産」の考え方が広まっていくといいですよね。私も、国産のものを選んで食べることで少しでも支えになればと思っています。

国産のものを選んで食べる

 安心して食べられる毎日の食事を支えてくださっているのは、生産者の方々や、生産から食卓までを支えてくれているJAグループの役職員の皆さんのお力だと感じています。買い物に行って、お米や野菜が並んでいることは決して当たり前ではなく、生産者さんが暑い日も寒い日も休みなく頑張ってくださっているから。そのことを考えると、感謝の気持ちは絶対に忘れてはいけないと思っています。今後も皆さんが育ててくださる食材や、その背景にある時間や努力に感謝しながら、大切にいただいていきたいと思います。

新山千春

新山千春 にいやま・ちはる

1981年、青森県出身。俳優・タレント。1995年に第20回ホリプロタレントスカウトキャラバン特別賞を受賞し、映画「お日柄もよくご愁傷さま」(1996)で俳優デビュー。バラエティ番組のMCやアシスタントを務めるなど、タレントとしても活躍する。「チャイルドマインダー」、「食育アドバイザー」、「薬膳インストラクター」などの資格を取得。2010年に青森市観光大使に任命され、食や農を含め地域の魅力を広く発信している。

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