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本気で農業始めました

第7回 サツマイモを軸に若手集結
対話や交流でエネルギー補充も

フリーライター 久米千曲

 実りの秋に感謝する催事が各地で復活し、新潟県田上町でも10 月下旬の週末や11月上旬の祝日にイベントが相次いで開催されました。山川仙六農園の後継者・山川敏幸さん(34)が所属するJAえちご中越青年部田上支部は、この秋2週連続でイベントに参加し、部員が栽培から収穫まで手がけたサツマイモの販売を通じて買い物客らとの対話や交流を深め、農業に向き合う新たなエネルギーを蓄えました。

恒例のサツマイモでPR 深まる交流、売れ行きも上々

 JAの青年部とは農業に従事している若手の担い手らで構成され、地域農業の振興を図るとともに、食農教育をはじめ、地域に根ざした社会貢献活動に取り組む組織です。田上支部は今年度もサツマイモを育てて収穫・販売する恒例の取り組みを実施。10月28、29日にあった「道の駅たがみ」のイベントに続いて、11月3日に開催された町の産業まつりに連続で出店、PRしました。
 この日は『べにはるか』の焼き芋と規格外の『紅あずま』の袋詰め(1㎏入り)に加え、綿あめを用意。山川さんは、中学・高校の同期で支部長を務める番場稔文さん(34)やJAの担当職員と共に朝から売り場に立ち「しっとりした焼き芋ですよ」「袋詰めは形にばらつきがありますが、加工する分には問題ないですよ」などと買い物客に説明しました。値頃感も魅力だったようで袋詰めは販売開始から2時間弱で売り切れ、焼き芋も正午過ぎには完売する人気ぶりでした。

販売する焼き芋の準備をする山川さん

活動する時間の捻出に苦慮 参加で新たな気付きや学びも

 支部の部員は14人いますが、足並みをそろえて活動するのはなかなか難しい現実があります。「栽培品目が異なる農家が同じ時間帯に集まり活動する時間を捻出するのは大変です」と説明する山川さんは一方で、「参加すると作業の仕方はもちろん、他品目の取り組みを知ることができ、新たな気付きや学びがあります」と語ります。青年部として出店するイベントでは買い物客や他の出店者らとの対話や交流を通じて地元で頑張る若手農家を知ってもらう機会にもつながります。支部長の番場さんも「ざっくばらんにやりとりしたりする環境があるのはありがたい。若い世代の新規就農者にも声がけしてつながりづくりをしていきたいです」と話します。

女性グループの出店者と交流する山川さん㊨

リズム戻り高まる若手への期待 農業を語り合う活動の機会を大切に

 新型コロナウイルスの影響で、活動の見合わせなど足踏みする期間が続きましたが、やっと元のリズムが戻ってきました。地域農業の維持・継続へ、担い手への期待が大きい中、山川さんは青年部活動として集まる機会を「若手農家が農業を語り合える大切な時間」と捉えています。家族の理解と協力を得て参加する山川さんは「貴重な情報交換によりエネルギーをもらえる場として、今後も無理のない範囲で活動に参加していきたいです」と語ります。

追加で規格外のサツマイモを袋詰めする

大勢の来場者でにぎわったブース周辺

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