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若者がみつめる食・農

農・食の未来を拓く高校生・大学生の研究

ブランド芝の生産で、景観維持と地域の農産業をつくる

~京都府立桂高校 第2研究群「地球を守る新技術の開発」研究班の挑戦~
JA全中

「全国高校生 農業アクション大賞」について
 
 JA全中は毎日新聞社と連携し、農業高校(農業系学科があるなどの関連高校を含む)の生徒たちがグループとなって取り組む「農」や「食」に関するプロジェクトや課題研究を「全国高校生 農業アクション大賞」として支援・顕彰しています。
 農家の人たちなど地域と連携して実践する3か年の計画を募集し、毎年度15グループを認定。優れた実績を残したグループには、3年目に「大賞」や「準大賞」を贈ります。

奨励賞
京都府立桂高校 第2研究群「地球を守る新技術の開発」研究班

 町面積の96%が森林。京都府南丹市美山町は「かやぶきの里」として知られています。日本の原風景を伝える一方で、高齢化や離農で耕作放棄地や休耕田が増え、その対策にソーラーパネルを設置する農家が急増しています。
景観の悪化は否めません。「農地を守りたい」という地域の声を受け、ブランド芝の生産という新機軸で、景観の維持と農産業創出に挑戦しました。
 芝は管理が容易で、栽培に重労働は必要ありません。獣害が指摘される野生鹿とも共生できます。芝の葉を食べてもらうことで、芝刈りの頻度を減らせるのです。
 栽培した「太閤芝たいこうしば」は、京都市にある豊臣秀吉の墓「豊国廟ほうこくびょう」周辺の芝で、同校の研究班のDNA解析によって1200年以上自生している固有品種であることが分かりました。これを種子から発芽させ、約2万8,000個の芝ポットを生産。地元農家に提供し、約1.5haの緑化を果たしました。今年からは芝の本格的な販売も始めます。
 循環資源の活用にも取り組みました。下水汚泥が由来で、その処分が社会課題になっているリン酸マグネシウムアンモニウムを肥料に使う研究に着手し、芝の育成期間を1年短縮させました。
 またこの取り組みから、地球温暖化防止に向けた可能性をつかみました。それは、温暖化の要因の一つである一酸化二窒素は、化学肥料に含まれる窒素が土壌に残ることによって放出されますが、一酸化二窒素を消去する土壌微生物を、リン酸マグネシウムアンモニウムを肥料にした芝の圃場で見つけることです。今は東北大学発のプロジェクトに参画しています。

「太閤芝」の栽培に取り組む生徒

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