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若者がみつめる食・農

農・食の未来を拓く高校生・大学生の研究

アグリカルチャーコンペティション 実践的研究分野 優秀賞受賞 大豆ミートの普及を目的とした開発研究
~これからの未来のための環境にやさしい選択~

~大阪成蹊大学経営学部 フードシステム研究室(髙畑ゼミ)
JA全中

アグリカルチャーコンペティション」について
 
「アグリカルチャーコンペティション」は大学生が「食」「農」「地域」「JA」等のテーマについて考え、発表する機会を創出することを目的とするコンペティション大会で、チームでも個人でも参加が可能です。平成29年度からスタートし、令和4年度(第6回)は14大学から50チームの参加がありました。
 JA全中は「アグリカルチャーコンペティション」準備委員会が主催する本事業に協賛し、「食」「農」「地域」「JA」等に関心を持つ大学生たちの取り組みを応援します。

研究の背景と目的

 このたびは、アグリカルチャーコンペティション第6回大会の実践的研究分野にて「大豆ミートの普及を目的とした開発研究~これからの未来のための環境にやさしい選択~」が優秀賞をいただき、お礼申し上げます。
 表彰いただきました研究は、世界的な人口増加に伴って食肉をはじめとしたタンパク質の供給が不安視される中、食関連の展示会で大豆ミートを知り、興味を持った当研究室の所属学生と中日本フード株式会社(ニッポンハムグループ)が産学連携体制を構築し、わが国では普及が進んでいない大豆ミートを使ったSOYSOY惣菜そうざいの共同開発とテスト販売を通して、大豆ミートの購入機会の提供と消費者の「大豆ミートはおいしくない」というネガティブな意識の改善を試みようとした取り組みです。

優秀賞を受賞したチーム「マスクミント」
(左から堀内悠里さん、奥舞雪さん、田中龍門さん)

SOYSOY惣菜の商品開発とテスト販売

 商品開発するにあたって市販の大豆ミート商品を数多く収集し、官能評価を行い分析しました。これにより大豆臭のマスキングやコスト面などの課題を見いだすことができました。その後、学生たちによるさまざまなSOYSOY惣菜のアイデア出しやブレーンストーミングを経て商品企画を立案し、試作と試食、レシピの改良を繰り返しながら努力を重ね商品化に至りました。
 完成したSOYSOY惣菜はからあげタイプ、白身フライタイプ、ピザタイプの3種類です。
 商品名は学生らしくユニークな『めっちゃごはんすすむやん!【SOYSOYからあげ】』『めっちゃ爽やかやん!【SOYSOY白身フライ】』『チーズめっちゃかかってるやん!【SOYSOYテリ×マヨピザ】』に決まりました。
 次に、学生たちは大阪府内のスーパーマーケットを訪問し、バイヤーに開発したSOYSOY惣菜を提案しました。学生のおもいがこもったプレゼンテーションと試食品の完成度が高かったことを評価していただき、テスト販売を実施できる運びとなりました。スーパーマーケット2社4店舗でのテスト販売によりSOYSOY惣菜を約1,700個も販売することができました。学生らも驚きを隠せない様子で、連携先にもたいへん喜んでいただくことができました。

共同開発したSOYSOY惣菜(3種類)
テスト販売の風景

アンケート調査から見えてきたこと

 今後、SOYSOY惣菜の定番化を目指す上で克服すべきポイントなどを探るため購入者にアンケート調査を実施したところ、多くの回答が得られました。結果の一部を抜粋して示します。
 大豆ミートを「知っていたが、食べたことはなかった」と回答した方に理由を尋ねると「購入のきっかけや機会がなかったから」「値段が高いから」「美味しくないと思っていたから」などが挙げられたことから、大豆ミートの普及を妨げている要因が見えてきました。
 一方、消費者がSOYSOY惣菜を購入する上で重視したことで多かったのは「学生とのコラボ商品であること」「環境面・栄養面のメリット」であったことから、学生による取り組みを消費者に評価していただけたことが分かりました。
 さらに、大豆ミートが環境面や栄養面に良いことを考慮した場合の購買行動として「環境面や栄養面に良いなら通常のものと同程度の値段でも購入してみたい」「環境面や栄養面に良いなら通常のものより1割から2割高くても購入してみたい」と回答した方が6割にも及ぶことが示されました。

今後の展望として

 本研究によりSOYSOY惣菜の商品開発とテスト販売を通して、大豆ミートの購入機会と消費者のネガティブな意識をある程度改善することができたのではないかと思っています。しかしながら、食肉よりも値段が高いことが難しい課題となっていました。したがって、さらなる付加価値を提供し、納得感を持って購入してもらう機会を増やしていくことが重要だと考えています。
 本研究は継続しており、スーパーマーケットでのSOYSOY惣菜の定番化に向けて、加工技術の進展による商品クオリティーの向上、たくさんの消費者から支持されるおいしくヘルシーな商品の開発、環境面・栄養面のメリットなどが伝わる販促資材、外食産業への流通チャネルの拡充など継続的な取り組みにより、大豆ミートが単なる食肉の代替えとしてではなく、新しいジャンルのタンパク質の供給源として普及していくことを期待します。

大阪成蹊大学経営学部 フードシステム研究室(髙畑ゼミ)

現在、当研究室には3・4年生の計26名の学生が所属しています。食ビジネスを通じて社会に喜びと豊かさを実現するため、「人には優しくしよう」「研究には厳しく向き合おう」「小さいことでも社会を良く変えよう」をモットーに産官学連携による商品開発や食品安全マネジメントなどのさまざまな研究開発に取り組んでいます。

フードシステム研究室(髙畑ゼミ)の所属学生
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