地域の元気を生み出すJA
「女性部員増強運動」で新たな仲間づくりを実現
JAグループは、令和6年開催の第30回JA全国大会において「組合員・地域とともに食と農を支える協同の力~協同活動と総合事業の好循環~」を主題・副題とする大会決議を行いました。令和8年はその実践2年目となります。食と農の未来、国消国産運動の推進、地域の元気づくり、農福連携など、消費者の皆さまにも身近に感じられるテーマについて、全国各地のJAの取り組みを紹介します。
6. 「女性部生活座談会」ですべての部員に「女性部員増強運動」が浸透
前編で紹介したように、大きな成果を上げている女性部員増強運動ですが、一部のリーダーだけで達成できることではありません。どのようにしてすべてのメンバーの意識向上を図っているのでしょうか?
その一つが、集落や地区単位で開催される「女性部生活座談会」(以後、座談会)です。座談会は、毎年5月から6月にかけて、約60会場で、女性部の通常総会とは別に、全女性部員を対象に行われているもので、半数近くの部員が参加しています。
座談会の前には、9つのエリアを3ブロックに分け、ブロックごとに「女性部リーダー研修会」を必ず実施しています。同研修会には、エリア長・地区長・集落役員らが集まり、女性部員増強運動をテーマにしたグループワークを行った上で、座談会の進め方を丹念に共有しています。まずはリーダー層の中で意識を浸透させてから、それをさらに末端にまで広める、というプロセスが形成されているのです。
令和8年度の座談会資料を見ると、前年度の活動実績や今年度の活動計画が、エリアごとに写真や図表を用いて分かりやすく書かれています。特に重点活動である女性部員増強運動については、具体的な目標値と増員方法が示されているのが特徴です。
令和8年度は、前年度よりも50名多い150名の増員が目標として掲げられました。また、具体的な増員方法としては、①令和7年度新規部員の継続加入(加入理由を再整理し継続加入を促進)、②呼び戻し作戦(一度退部した人に再加入を声がけ)、③目的別(好きなこと)加入(女性部おためし体験・目的別活動への勧誘)、の3つが提案されています。
①には、「加入したらそれで終わり」ではない、本当の仲間づくりの実践への気概が表れています。また、②は、これから部員増加を目指す上で見逃せないポイントだといえます。コロナの影響などにより、集落単位で脱退したものの、集まる場がなくなり寂しくなったという声は全国で聞くことができます。しかし辞めた手前、自分から再加入をお願いすることをためらっている場合もあるでしょう。また、前編で例に挙げたように「女性部に興味はあるが、自分からアプローチするのは難しい」と感じている女性もいるかもしれません。そうした女性たちに、女性部側から積極的に働きかけることは、絆の再構築や新たな仲間づくりに必ず結び付きます。実際に②の呼び戻し作戦は、すでに成果を上げ始めているということです。
7. 女性部の生き生きした活動を伝える
機関紙『
輝RaRa』
『輝RaRa』は、年に1度女性部が発行する機関紙です。約2,000部を印刷し、全女性部員に配布されています。各エリアから1名の編集委員を選出してもらい、そこに女性部役員と生活指導員が入って、長い時間をかけて丁寧に作成されています。
『輝RaRa』は、普段あまり活動には参加しない部員にも、自分のエリアの活動を知ってもらい、少しでも興味を持ってほしい、という思いから、すべてのエリアの情報を掲載することにこだわっています。全エリアから編集委員を選出し、作成に携わってもらっているのはそのためです。このことにより、いわば「幽霊部員」が少しずつ減る傾向にあります。
同紙は、女性部員増強運動の詳細を紹介していることや、写真を多用し支部活動を分かりやすく伝えていることが高く評価され、JA福井県女性組織協議会が毎年実施している、JA女性部手づくり機関紙コンクールにおいて、今年度の最優秀賞に選ばれました。
8. 一人一人の部員が主人公になれるアイデアが盛りだくさん
女性部員増強運動の他にも、女性部ではメンバーが生き生きと活躍できる工夫をいくつも仕掛けています。
その一つが「カルチャーリーダー制度」です。生活指導員が減少し、1支店1指導員体制ではなくなったことで、生活指導員の負荷を減らす必要に迫られたことが背景にありますが、何よりも、女性部の活動なのだから、部員同士が教え合えば、それぞれが活動の主人公になれるのではないか、という角野支部長の強い想いから実現したものです。
カルチャーリーダーには、食育・生活教養・運動・営農・健康福祉の5部門があり、現在66名の女性部員が登録しています。昨年度は、カルチャーリーダーによる144回の目的別講座などが開催されました。
2月から3月にかけては、エリアごとに「統一学習会」も実施しています。食と農を基軸とした女性部の活動継続と次年度の活動のステップにするためのもので、座学だけでなくグループワークもセットになっているのが特徴です。
JA女性組織の研修というと「リーダー」に限られるケースも少なくありませんが、女性部では、情報共有も学習機会もすべての部員が等しくアクセスすることができます。そうした環境から女性部に一体感が生まれ、女性部員増員といううれしい結果に結び付いているのだと考えられます。
9. 切磋琢磨しながら女性部が活性化!
女性部員増強運動は取り組みから2年目に入りました。あと3年はこの方向を継続したいと、活動を牽引
する角野支部長は話します。「150名増員という、新たな目標の達成度が可視化できるよう、各エリアで四半期に1度、数値をまとめて報告してもらうことにしました。エリアによって濃淡はありますが、成果を上げている他のエリアの活動を知ることで、それまであまり運動に取り組んでこなかったエリアの意識が高まってきました。数値そのものもそうですが、このように切磋琢磨しながら、各エリアの活動が充実してきたこと、自分たちにもできるんだという自信が生まれたことが、女性部員増強運動の一番の成果だと思っています」(角野支部長)
全国のJA女性組織は、メンバー数の減少という大きな課題に直面しています。そのような中、それぞれのJA女性組織が、地域ごとの特性を生かしながら、意義ある活動を次代につなぐための方策を考える必要性が高まっています。JA福井県女性部福井支部が実践する「女性部員増強運動」は、同じ悩みを共有する多くのJA女性組織にとって、たくさんのヒントが隠されている取り組みなのではないかと思います。